憲法とは国家権力への国民からの命令である ビジネス社 [良書紹介]
[良書紹介]

2013年7月1日 第1刷発行
ビジネス社
まえがき
日本国憲法の問題点と言えば、憲法違反が公然と為されていて、これに誰も気付かず、論じられてもいない事である。
「憲法違反」等と言うと、多くの人々は直ぐ第九条の事だと思ってしまう。
ここに既に「問題点」が浮かび上がってくる。
と言うのも、抑々(そもそも)、憲法の本質から孝えると第九条は、ほんの付け足りに過ぎない。その「付け足り」を巡って五十有余年、不毛の論議を繰り返すとは?
では、現在行なわれている最も深刻な「日本国憲法違反」とは何か。
それは第一に、憲法第十三条の違反である。
国民の生命、自由、財産を保障する第十三条こそ、日本国憲法の生命(最重要条項)である。
だが、今の日本では第十三条が踏み踊られても誰も気にする人がいない。
日本では自国民が他国に依って拉致されても政府も代議士も指を咥えた儘で何もしない。
地価が暴落し、ゼロ金利が続いた結果、国民の資産が吹き飛んでも、それを「日本国憲法違反」だと指摘する声は一向に上がらない。
更に重大なのは憲法第九十八条二項の違反である。
この憲法違反に至っては、その事に気が付いている人さえいない。日本国政府は国際条約に違反し、憲法に違反しているだけでなく、有事に於ける日本国民の安全の権利を蔑(ないがし)ろにしている。これ程、由々しい事があろうか。
これ程の致命的な違反が現に行なわれながら、何故、誰も問題にしないかと言えば、結局の処、現憲法が日本国民自らの戦いの中から生まれた物ではなく、敗戦の結果、アメリカから押し付けられた物であるからに他ならない。
故に日本国民は本気になって憲法と取り組む事がなかった。
本書の目的は、日本国民が掛かる機運を起こす為の起爆剤となる事にある。
更に付け加えれば、憲法とは元来、慣習法である。
如何に優れた規定があろうと、それが作動する為の基盤がなければ、その憲法は結局「絵に描いた餅」に終わる。
本書では、その基盤として「教育」及び「官僚」の問題を採り上げた。日本の憲法を考える上で、この二者の研究は何にも増して重要だと信じるからである。
平成十四年四月
小室直樹
「憲法とは国家権力への国民からの命令である」

2013年7月1日 第1刷発行
ビジネス社
「憲法とは、生命、自由、財産の保護という、国民の基本的人権を守ることを最大の使命とする。」(扉裏)
まえがき
日本国憲法の問題点と言えば、憲法違反が公然と為されていて、これに誰も気付かず、論じられてもいない事である。
「憲法違反」等と言うと、多くの人々は直ぐ第九条の事だと思ってしまう。
ここに既に「問題点」が浮かび上がってくる。
と言うのも、抑々(そもそも)、憲法の本質から孝えると第九条は、ほんの付け足りに過ぎない。その「付け足り」を巡って五十有余年、不毛の論議を繰り返すとは?
では、現在行なわれている最も深刻な「日本国憲法違反」とは何か。
それは第一に、憲法第十三条の違反である。
国民の生命、自由、財産を保障する第十三条こそ、日本国憲法の生命(最重要条項)である。
だが、今の日本では第十三条が踏み踊られても誰も気にする人がいない。
日本では自国民が他国に依って拉致されても政府も代議士も指を咥えた儘で何もしない。
地価が暴落し、ゼロ金利が続いた結果、国民の資産が吹き飛んでも、それを「日本国憲法違反」だと指摘する声は一向に上がらない。
更に重大なのは憲法第九十八条二項の違反である。
この憲法違反に至っては、その事に気が付いている人さえいない。日本国政府は国際条約に違反し、憲法に違反しているだけでなく、有事に於ける日本国民の安全の権利を蔑(ないがし)ろにしている。これ程、由々しい事があろうか。
これ程の致命的な違反が現に行なわれながら、何故、誰も問題にしないかと言えば、結局の処、現憲法が日本国民自らの戦いの中から生まれた物ではなく、敗戦の結果、アメリカから押し付けられた物であるからに他ならない。
故に日本国民は本気になって憲法と取り組む事がなかった。
本書の目的は、日本国民が掛かる機運を起こす為の起爆剤となる事にある。
更に付け加えれば、憲法とは元来、慣習法である。
如何に優れた規定があろうと、それが作動する為の基盤がなければ、その憲法は結局「絵に描いた餅」に終わる。
本書では、その基盤として「教育」及び「官僚」の問題を採り上げた。日本の憲法を考える上で、この二者の研究は何にも増して重要だと信じるからである。
平成十四年四月
小室直樹