李剛『川島芳子の謎と迷』

李剛氏の新著『川島芳子の謎と迷』
『川島芳子生死の謎』の著者で、吉林省に住む歴史作家の李剛氏が、台湾で生存説に基づく伝記を出版した。
李剛氏は毎年のように川島芳子に関する著作を発表しており、中国・日本・香港・台湾で10作品以上が出版された。
その李剛氏の最新作になるわけだが、今回の伝記はかなりの部分を川島芳子の審判記録に基づいている点が新しい。
これまで、川島芳子の伝記と言えば、小説風に書かれた村松梢風『男装の麗人』、上坂冬子『川島芳子伝』などがあった。
しかし、いずれも関係者の聞き書きに基づいたもので、歴史的な裏付けが取れない小説、あるいはルポに過ぎなかった。
李剛氏は、北京監獄で川島芳子が奸漢裁判を受けた際の、裁判資料を丁寧に分析し、新事実を多く盛り込んでいる。
さらに、李剛氏のライフ・ワークとなった、長春での生存説にも触れられており、全く新しい川島芳子伝となっている。
野崎晃市(48)