マスメディアの堕落の原因!②:【記者クラブ】問題 月光舎人の気まぐれ日記 H.24/08/16

マスメディアの堕落の原因!②
【記者クラブ】問題
【記者クラブ】問題
月光舎人の気まぐれ日記 2012-08-16
3.11の福島原発事故をきっかけとして、各マスメディアの報道があまりにも貧弱で、とても事実とは思えない東電の報道をただ垂れ流すだけの、そして事故を最小に見せようとする政府の意向に沿った、まるで政府の御用報道のようになってしまった。それは原発報道に限らず、TPPや消費税増税問題にも言えることだ。そこには“真実を追究して広く知らせる”という本来の使命は微塵も感じられない。
なぜそうなってしまったのか?
前述した通り、第一の問題は【経営問題】ではないかと考えています。そして第二の問題は【記者クラブ】問題にあると思うのです。ジャーナリスト上杉隆氏の著書「新聞・テレビはなぜ平気で『ウソ』をつくのか」から抜粋します。
既存メディアの報道がいかに虚偽に満ちたものだったか。この点についてこれまで多くの事例を紹介した。一連の歪んだ報道の元凶こそ、私が十数年来、問題視してきた「記者クラブ」問題にほかならない。
そもそも記者クラブとは何か。
当初それは、権力に立ち向かう際に、単独ではなく各メディアがスクラムを組んで対峙しようとの意義で結成されたもので、現在は大手新聞社と大手テレビ局を中心に成り立っている。・・・決定的な変化があったのは、第二次世界大戦前の1930年代後半である。軍靴の足音が近づくにつれ、政府の言論統制は厳しさを増した。『信濃毎日新聞』の桐生悠々が「関東防空大演習を嗤ふ」と題した反体制的な社説を書いて、事実上ペンを折られたように、軍国主義に対してNOを突きつける人間が、新聞社内からパージされはじめたのである。
そうした風潮のなか、新聞みずからも「自主規制」を始める。本来なら、戦争反対を唱える主張があっていいはずなのに、その芽を未然に摘み、反論を許さない風潮に新聞自らが寄与することになったのだ。多様な意見を担保する役割を果たすべきメディアが、その多様性を排除してしまったのである。・・・海外のジャーナリストが忠誠を誓う対象、それは自分が取材して信じた「真実」にほかならない。ジャーナリストが行うのは「真実の追究」であり、そこに思想信条は関係しない。だから優秀なジャーナリストは、どのような組織に所属しようが活躍できる。メディア側も真実を伝えることが目的なので、反対の思想をもつ人物が社内に存在することを喜んで許容する。
一方、日本の記者は「会社」に忠誠を誓う。メディア側にも「『朝日新聞』の言論を広める」といった驕った目的を標榜していることが多い。そこで重要となるのは、多様な意見や価値観の提示ではなく、あらかじめ全体で意思を統一した「社の方針」である。
このように、記者クラブによって守られ、会社に忠誠を誓う日本のジャーナリストには、そもそも、対論を表に出して論争を繰り広げることが健全との認識がない。放射能が危険だという意見があれば、安全だと言う意見もあってもかまわないのに、一方だけを採用し一方を排除してしまう。・・・
更に上杉氏は現場の各社の新聞記者たちが馴れ合いになって記事を融通しあうようになり、また現場の記者達から上げられた取材メモはデスクを通して編集局長、政治部長に届くが、そのメモが官邸中枢に届けられ、謝礼を貰っている場合も多いという。官邸は敵対する政治家のスキャンダルや政府の意に反するメディアの情報を求めており、それらの情報を使って政治家のスキャンダル情報を雑誌社に流したり、霞ヶ関に指示を与えたりして、言論統制に一役買っているという。まさに「官報複合体」の癒着構造といえるだろう。
「記者クラブ」という制度が記者同士のもたれあいを生み、情報を独占して外部からの新規参入を拒み、権力側と裏で繋がって“お互い甘い蜜をなめあう”構図は建設業界の談合組織とそっくりだ。政府の情報統制にも都合がいい組織なのである。この弊害を一刻も早くなくすことが必要ではないだろうか。