この時代の日本人は世界で最も醜い。 独りファシズム Ver.0.1 H.25/05/04

この時代の日本人は世界で最も醜い。
隣国からの買い物客がこぞって安全な粉ミルクや薬剤などを求めたという日本ブランドの神話は、とっくに失墜している。つまり、国際社会は日本人が良識やモラルという美徳を喪失し、産業基盤≒国家基盤となるエートス(精神)を逸失したとみなしている。
独りファシズム Ver.0.1 [2013/05/04 15:03]
破損した4基の原子炉から2年以上にわたり膨大な核が放出され、周辺地域の児童らが強烈に被曝し続けているにもかかわらず、社会は報道のコンテキスト(文脈)によってそれを非存在とし、人権や生命よりも近視眼的な私益を優先している。
この体系はグロス270兆円規模という、世界トップレベルの実行予算を有しているのだけれど、人間生命と国家存続という課題に対し、その僅か1%を拠出する意思すら有しないのだから、原子炉とともに人格がメルトダウンしているのだと思う。
被曝地では児童の40%以上に甲状腺異常が確認され、それは首都圏に波及するにもかかわらず、市民の関心事はスポーツ中継とバラエティ番組というシュールリアル(ありえない現実)なのであり、すなわち情報技術が進歩したところで、知性との相関はなく、むしろITによって思考力は減退しているのであり、つまるところ「支配構図が露呈したところで、民衆はそれを意味化できない」、というナチズムの論法に等しい。
行政は汚染食品の流通を主導しているのだが、3.11以前は核廃棄物として処理されていたレベルの個体が店頭陳列されるという破滅ぶりなのであり、さらにそれは学校給食によって次世代の生命を侵食しているのであり、外食や常食の内部被曝によって、労働世代の生命すら縮減していることに反駁などできないはずだ。つまり、今やすべての国民が、無権利状態である。
自分は小さな商社から社会人のスタートを切り、常々、緒先輩から「日本人は凄いぞ。中東やアジア、どこの国に行っても尊敬されるんだ」などと聞かされ、海外勤務に夢を募らせていたのだけれど、あれから僅か20年少々の間に、我々は世界で最も蔑視される民族に成り下がったのではないかと思う。
各国からすれば、日本国政府がチェルノブイリ級の汚染地域に、児童や妊婦を放置するという行為は全く理解不能なのであり、一連の国策は旧ソ連以上に非人道的であると認識されている。いずれにしろ、この世紀における最大規模の構造的暴力であり、類型のない人権抑圧であることは明らかだ。
メディアはプロパガンダに狂奔しているが、その効力は極めてドメスティックだ。42ヶ国が日本製食品の輸入禁止措置を取り、やがては工業製品にも波及する見通しなのであり、隣国からの買い物客がこぞって安全な粉ミルクや薬剤などを求めたという日本ブランドの神話は、とっくに失墜している。つまり、国際社会は日本人が良識やモラルという美徳を喪失し、産業基盤≒国家基盤となるエートス(精神)を逸失したとみなしている。
などと書くと、自称愛国者から毎度バッシングを喰らうのだが、どれほどワンフレーズ・ポリティクス(威勢のいいこと)をわめき立てたところで、放射性物質にまみれた食品を判断力のない児童に摂取させ、挙句に図々しく他国に輸出しようとする軽薄な民族が馬鹿にされるのは当然だろう。何度でも繰り返すが、この時代の日本人は世界で最も醜い。
かつて先鋭的に右翼を気取った福田和也は、「家族より国を愛している」とのたまわっていたのだが、国土の半分近くが壊滅状態に陥りながら憤怒を表明するわけでもなく、またその他右翼者が電力企業や監督省庁に街宣車一台差し向けるわけでもないのだから、論壇などという前時代的な言論空間もまた無内容であり、我々の文化資本はかくも薄っぺらであり、つまるところ言説者は沈黙によって地位が担保されるのであり、「実利はイデオロギーを超越する」ということなのだろう。
間抜けな国家元首がアラブに原子炉を売り込み、これを馬鹿なマスコミはこぞってトップセールスなどと賛美しているのだけれど、この国の首都がすでに高濃度に核汚染され、数千万人の被曝と土地資本制度の終焉により、国家経済の全面崩壊どころか、民族国家の終焉すら現実視される渦中において、彼らは正気なのだろうか?この前提において、報道集団とは紛れも無く、資本集団のイネーブラー(犯罪行為を助長する者)である。
論理の格子が虚空に広がり、メディアの歪像が視界の全面を占め、我々は現実を見ているのではなく、別様に変奏された何かを、おそらく人工的現実を共有しているのであり、認識と本質には根底的な切断が生じ、精神はとっくにインタラクティブなシミュレーション世界に捕囚されている。
自分はいまだ、軽薄という狂気の本質を理解しかねているのだが、それはおそらく単層ではなく、複層のエレメントによって構造化されたのだと思う。
GHQによる占領統治政策、メディアによる認知支配、公共教育による人間の均質化、コンテンツによる知性劣化、これらが戦後60数年にわたり協奏して国民精神の空洞化を達成したのだが、その結末として、我々は思考するという人間の最も高度な営為を喪失したのだろう。
結局のところ、憲法改正による軍事国家化も、線量計バッジによる被曝地児童のモルモット化も、国策による関東・東北住民の棄民化も、単式簿記による国家会計の不可視化も、派遣労働法改正による奴隷市場化も、TPPによる経済植民地化も、すべてはAnti-intellectualism(反知識主義)を中心手段とする壮大な統治計画の所産なのであり、考えることを拒絶した我々の未来には、もはや悪夢的なヴィジョンの体現しかないのかもしれない。
[2013/05/04 15:03]