Neo Fascism 禁圧が近づいている。 独りファシズム H.25/09/08

Neo Fascism
禁圧が近づいている。
禁圧が近づいている。
独りファシズム 2013/09/08 00:05
国民の大多数に周知することなくACTA批准となったのだが、これはネットの弾圧に発展することからEU各国で250万人規模の反対デモが勃発し、廃案に持ち込まれたというシロモノだ。そのうえ今秋には「秘密保全法」が成立する見込みであり、つまり体制は米国の「愛国者法」(PATRIOT)へ全面的に準拠しつつ、言論統制を達成するという目論見である。
むしろ暗黒法の施行は市場原理主義のフォーマット化なのであり、自由貿易(グローバリゼーショーン)にともなう過激な人権抑圧は南米諸国が例示するとおりだ。換言するならば言論こそが最大の参入障壁なのであり、福祉国家の解体と経済市場の侵略に刃向かう市民勢力の撲滅が残された課題である。
集団的自衛権という不明瞭な言葉が跋扈し、この体系は急速に戦争国家へ邁進しているのだが、70年代に市場原理主義の実験場となったチリ、アルゼンチン、ブラジルなど各国において軍事政権がグローバル資本の実働部隊となり、反体制派を数十万人規模で監禁、拷問、殺戮したという歴史事実をあらためて洞察すべきだろう。
早い話、民主議会によって政策決定するのではなく、恐怖政治によって社会改変するという方法論であり、かくもコーポラティズム(企業と行政の共謀主義)は暴力との親和性を発揮するのだ。
あらためてTPPとは新世代の植民地統合策であり、16世紀より連綿と白人種が実践する世界支配の近代版テクストなのであり、そのような条約の批准とは、我々を自由決済する白紙委任状の譲渡に等しい。
TPPに伴いホワイトカラー・エグゼプション(残業不払制)や限定社員制度が構想されているとおり、抑制した労働賃金と社会保障の企業負担金を利潤としてプールし、それ配当として本国へ送還するという目論みである。このような仕組みはグローバル企業が進出地で仕掛けるスキーム(常套手段)であり、つまり国家は我々を労働奴隷として外国人に提供しようとしているわけだ。
繰り返すが2003年の「労働者派遣法改正」により2000万人近くが非正規雇用に転落した結果、国内から揮発する賃金は年間30兆円ベースに達している。それは爆発的な貧困の要因であると同時に、歳入減少による財政の悪化、消費不足による経済の縮小という国家破綻の主因なのであり、結局のところ我々は歴史の先例に学ぶことなく、グローバリゼーションによって崩壊したラテン・アメリカを追従しているだけのことだろう。
求められているのは、分解された民衆が結束し資本帝国に対抗する「マルチチュード」であるのだが、我々がそれを概念化できるほどの民度に達することはない。この社会はメディアを中心手段とする「柔らかい野蛮」というソフトな全体主義によって、真綿でジワジワ締めつけられるように知性が殺されているのだ。
今後は「秘密保全法」の成立を受け、なし崩し的に関連法案が成立するのであり、電脳の論者が粛清される可能性は極めて高い。ブログやツイッターが社会改革のツールだと錯誤している方が多いのだが、そもそもITは米軍の防衛システムからの派生技術であり、多国籍企業の成員であるGoogleやYahoo!またYouTubeは個人情報の売買をビジネスモデルとしているのであり、ツイッター・ジャパンの第二株主が国内メディアを睥睨する電通であるとおり、これらのインフラは反逆者のピック・アップ(炙り出し)を本質としている。
結局のところ我々は支配勢力の掌上で思想と個人情報を晒し続け、電脳に張り巡らされた罠に嵌っていることすら気付かず、執行猶予を自由言論の獲得だと無邪気に錯覚しているに過ぎない。それはかつて毛沢東が「百家争鳴」をスローガンに掲げ、知識人らに共産党への批判を奨励し、言論が出尽くしたところで一挙に不満分子を粛清したという方法論に通じるのだと思う。
米国アクシオム社が10億人以上の個人情報をデータベース化し、アソシエーション(傾向)分析したファイルを当局に納入しているとおり、我々は全てのトラフィックを捕捉されているのであり、それは来るべき禁圧の時代において、強力なウェポンとして行使されるのだろう。
1925年に成立した「治安維持法」は、その3年前に起草された「過激社会取締法」をプロトタイプとするのだが、慄然としてそれらの法意は「秘密保全法」に酷似している。「治安維持法」が施行された20年間において約7万人が思想犯として逮捕され、内1500人以上が獄死しているのであり、戦後社会は平穏を偽装し暴力への回帰衝動を包み隠してきたに過ぎないのかもしれない。
マスコミも「秘密保全法」の危うさを論説しているのだけれど、そもそも旧メディアはネットと相対化されることにより没落したのだから、彼らは電脳の封殺によってのみ復権できるのであり、むしろ新聞社などはそのような暗黒法による最大の受益者であるはずだ。つまりステークホルダー(共謀者)である彼らは、本音として国家による言論統制を待ち望んでいる。
動画・音声を伴う無料の膨大な情報がリアルタイムで飛び交い、そのうえ紙面で展開する虚説や欺瞞が即時に暴かれるのだから、IT社会やネット言論などというものは新聞屋にとって悪夢以外の何物でもなかったわけだ。
私的見解として本当に優れた電脳の論者は200人にも満たないのであり、そのようなノード(接点)が破壊されるならば、ネットという言論空間など容易く制圧されるのだと思う。現実としてACTAは著作権の非親告罪を核心としているのであり、殆どのブロガーが記事や画像を転用しているのだから、理論的には彼らの全てをSLAP訴訟(Strategic Lawsuit Against Public Participation=黙らせ、威圧し、 苦痛を与えることを目的とする報復的な民事裁判)により、抹消することが可能となるのである。
「秘密保全法」が成立した後の社会において、公益という概念は完全に抽象化され、それに抵触する発話行為は反政府行動として認知されるのであり、換言するならば実質政府である多国籍企業の利潤を損なう言説が取締りとなるのであり、我々は「市場原理主義 + 独裁(軍事)政権 = 人権抑圧」という暴力の制式を思い知ることになるだろう。