【推奨図書】「略奪者のロジック2 新世紀ファシズムを抽象する219の言葉たち」(響堂雪乃氏著)
暗黒夜考~崩壊しつつある日本を考える~
【推奨図書】「略奪者のロジック2 新世紀ファシズムを抽象する219の言葉たち」(響堂雪乃氏著)
2013年10月12日
ブログ「独りファシズム」を主宰する響堂雪乃(Yukino)氏が、またまた非常に示唆に富む有益な内容が綴られた新著を執筆されたので、皆さんにも一読いただきたくご紹介をさせていただきたい。
Yukino氏はここ1年ちょっとの間に「独りファシズム-つまり 生命は資本に翻弄され続けるのか?-」「略奪者のロジック-支配を構造化する210の言葉たち-」「SLAUGHTERHOUSE-グローバル資本は国家 と人間を解体する-」3作を執筆されているのであるが、昼間は通常の仕事(ビジネス)に従事し、定期的にブログの更新もしながら、さらに濃密な内容の著書 を立て続けに書き綴っているのであるから、その姿勢・熱意には本当に頭の下がる思いである。
個人的にYukino氏とはひょんなことをキッカケに意気投合し、以降、様々な情報交換をさせていただく間柄であるが、「一体どこにこれだけの執筆活動をおこなう時間があるのか?」(ほとんど寝ていないのでは?)というのが率直な感想である。
今回の新著は電子書籍ということで価格的にも非常に買い求めやすくなっており、小生も早速に読ませていただいたが、以下の「前書き文」から解るように非常に示唆に富む内容ゆえ、”文句なし”の推奨図書としてお読みいただきたいと思う次第である。

「略奪者のロジック2 新世紀ファシズムを抽象する219の言葉たち」
~まえがき~
滅びの時代である。
おおよそ国家の意思決定は代表議会によるのではなく宗主国によるのであり、諸制度は 多国籍資本によって起草されるのであり、もはや様相は社会調整機能の一切が東インド会社というコングロマリット(半官半民の植民地企業体)に委ねられたイ ギリス領インド帝国となんら変わりがないだろう。つまり本質としてこの体系はSemicolony(半植民地)なのだ。
過去10年にわたり外国勢力の要求に従い、労働者の非正規化、医療・福祉・教育の切 捨て、主要企業の外資化が推進されたのだが、その結果天文学的なカネが国民経済から揮発し、社会も人心も荒廃世界の様相を呈している。つまるところ TPP(自由貿易構想)とは侵略の終章であり、それはすなわち今後100年以上に及ぶ我々の奴隷化を意味するのである。
福島原発事故はもはや収束の目処が立たず、周辺住民の被曝が累積しながら行政は無策 であり、むしろ積極的に汚染ガレキを拡散し核を孕む食品を流通させるのであり、そのような人間理性に反する振る舞いは、あたかも飽和点を超えたレミングの 群が、本能プログラムの発現により集団自殺するかのようであり慄然を禁じえないのだ。
いずれにしろ我々は経済侵略、原発事故、財政破綻という重奏する危機に直面している のだが、厳戒な報道管制によって知覚が欺かれ、未だ何が進行しているのかすら理解できないのだろう。あらためてメディアとは知性のロールシャハ・テストで あり、見識のリトマス試験紙であり、それに整然の秩序を見出すのか、周到の作為を感知するのか、あるいは隠然する殺意を抽象するのか、向き合う者の原質を 対面鏡のように映し出すのだ。
以上の前提において本書の狙いはフレームワーク(思考の枠組)と推論規則の提供であ る。略奪者の内在論理を暴く219の言葉とパラグラフ(解説群)の対置は、言わば抽象と具象の統合であり、ある種の閃光とともに直感的な理解と瞬時の観念 化作用をもたらすのであり、それは極めて広範な頭脳作業を可能にするだろう。換言するならば、怒りや憎しみという感情爆発が昇華され、あらたに知識体系を 再編するのだと思う。
つまるところ我々は新世紀ファシズムに抗う精神(エートス)を求めるのであり、脱植民地化に向けたオルタナティブ(対抗理論)を構想するのであり、本書がその階梯(テクスト)となり、未来を切り開く手懸かりとなれば幸いだ。
2013年10月8日 響堂雪乃