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ウクライナに於いてプーチンの反撃が始まった。 その反撃の実態は「軍事介入」であるが…、 しかし! その態様は「異様な軍事介入」である。

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ウクライナに於いてプーチンの反撃が始まった。
その反撃の実態は「軍事介入」であるのだが…、
しかし! その態様は「異様な軍事介入」である。
ソレは「ロシアの正規軍」ではなく、プーチンの「謀略軍の精鋭部隊」(ソチを護衛していたプーチンの精鋭部隊)だ。
とにかく、プーチンの反撃は「異様」なのである。
軍略」ではなく「謀略」であるからだ…。 (飯山一郎)

クリミアで何が起こっているのか?ロシアの「静かで曖昧な」軍事介入

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先日、緊張の続くウクライナ情勢のうち、特にクリミア情勢に焦点を当てた記事を書いた。

ところがそれから数日のうちに、クリミア情勢はさらなる急展開を遂げている。

ごく曖昧な形を取りながら、しかし極めて迅速にロシア軍の軍事介入が始まったのである。

空港占拠の「誤報」

28日。クリミア自治共和国の首都シンフェローポリでは、ウクライナからの独立を叫ぶ一派が議会を占拠し、その周囲を新政権の派遣した警官隊が取り囲むという状況が続いていた。

こうした中で、日本時間の午前中、シンフェローポリの空港を正体不明の武装勢力が占拠したとの情報が流れたが、後にこれは誤報であるとされ、取り消された。

また、ロシアのアントノフ国防次官は、その前日にウクライナのトゥルチノフ大統領代行が「(クリミアのセヴァストーポリを母港とする)ロシア黒海艦隊が出動すれば侵略と見なす」と強い口調で警告したのに対し、「黒海艦隊はウクライナ政府との合意の下で行動する」と述べるなど、ウクライナ側の懸念をなだめようとしているように見えていた。

だが、日本時間午後、ウクライナ内務省は、クリミアの2つの空港が正体不明の武装集団に占拠されていると発表。

Twitter上にも、国籍表示の無い軍服を着た集団が道路を封鎖している様子の写真や動画などが現地の住民達によって投稿され始めた。

ただし、ここで白状しておくと、この段階では筆者は完全に動向を読み誤っていた。

「空港を占拠」と言っても、クリミア半島にあるロシア海軍航空隊の2つの基地(セヴァストーポリのカーチャ飛行場とシンフェローポリのグヴァルデイスコエ飛行場)の警備を強化しただけだろうと考えていたのである。

言い訳をすると、当初の報道では「軍用空港を占拠」とされていたためなのだが、さらに続報を追うにつれ、占拠されているのがベルベク空港とシンフェローポリ空港であることが分かってきた。

ベルベクはロシア海軍基地のすぐ傍にあり、たしかに軍民共用だが、シンフェローポリの方は完全に民間空港である。

ということは、完全にロシアの主権外にあるウクライナの施設が何者かに占拠されている!ということで、ようやく筆者にもことの重大さが理解できたのは夕方になってからだった。

さらに武装集団が街中や道路上にも出現し初め、クリミア全土はいつの間にか、彼らの占領下に入りつつあることも明らかになってきた。

武装集団の正体は

こうなってくると、武装集団の正体は誰なのかということが問題になってくるが、結論から言えばこれはロシア軍であると筆者は考える。

そもそも空港や市内で目撃されている彼らの服装や装備は完全に統一が取れている上、着用している迷彩服、防弾アーマー、ヘルメットなどはロシア軍で配備が始まったばかりの最新型である。

さらに後述するように、彼らはBTR-80装甲車やMi-24武装襲撃ヘリコプターといった重装備まで保有しており、ただの「民兵」などではあり得ないことは明らかだ。


続々と侵入してくるロシア軍の装甲車の車列

ただし、報道を見る限りでは、クリミアの住民から成る民兵組織や、旧政権の治安部隊「ベルクト」の構成員らも行動を共にしていることもたしかなようだ。

べルクトについては冒頭で紹介した拙稿でも触れたが、新政権による復讐の対象となる可能性が高いために大挙してクリミアへ逃れていたもので、クリミア自治共和国政府は彼らのために対テロセンター「クルィムスキー・ベルクト(クリミアのベルクト)」を設置して雇用する方針を打ち出した。

事実上、クリミア自治共和国独自の軍事組織が結成された訳である。

ということで、以下の本稿では、クリミア半島がロシア軍及びクリミアの親露派武装組織が掌握しつつあるという前提に従う。

静かで素早い軍事介入

現在までに判明しているところによれば、ロシア軍は自国の軍事基地の警備を強化すると共に、前述の2つの空港、電話局、テレビ・ラジオ局、ウクライナ本土に通じる幹線道路などを抑えており、物理的な交通も通信も遮断されている模様だ(クリミアでは昨日から通信障害が発生し、電話やネットがつながりにくい状況が続いている)。

さらに28日にはベルベク空港上空でMi-24武装襲撃ヘリコプターが目撃されているほか、バラクラバ湾の出口にはロシア海軍のミサイル艇が出現し、同湾を封鎖している。


Mi-8輸送ヘリとMi-24武装襲撃ヘリの編隊

興味深いのは、Mi-24である。

公開されている情報を見る限り、クリミア半島に駐留するロシア海軍歩兵部隊の第810海軍歩兵旅団はこのヘリコプターを保有しておらず(西部軍管区の海軍歩兵部隊にしか配備されていない)、であるとすれば、ロシア本土から陸軍部隊の増援がクリミア半島へと到着している可能性が高い。

封鎖された空港に増援部隊を載せたロシア軍の航空機が到着したとの報道もある。

まとめるならば、ロシア軍は国籍を隠して曖昧な形で市内へ展開し、交通と通信の要所を占拠。同時に現地住民や元治安部隊員による武装組織を立ち上げると共に、ロシア本土から増援を受け入れつつある可能性も高い。

軍事介入と言えば、ロシア軍が堂々と強襲を掛けてくるようなイメージを多くの人々が持っていたに違いないが(告白すると筆者はそうだった)、ロシア軍は実に静かに、しかし素早く軍事介入を行ったのである。

一方、ウクライナ北方では、ロシア軍の陸海空軍15万人を動員した大規模演習が27日から実施されている。

ロシアの狙いは何か

筆者は当初、ロシアはぎりぎりまで軍事介入を避けるだろうと考えていた。

米国が度々警告してきた通り、軍事介入を行えば米露関係は決定的に悪化し、2008年のグルジア戦争の際のような断絶状態にまで陥りかねない。

もちろん、ウクライナ新政権との関係も難しくなるだろう。

政変以降、筆者が連絡を取り合ってきたロシアやウクライナの専門家達も、軍事介入はよほどの場合に限るという点でほぼ見解は一致していたと認識している。

にも関わらず、ロシアが介入を行った理由を考えてみると、大きく2つに分けられるだろう。

第一は、この機にクリミアに分離独立地域をつくってしまい、対ウクライナ関係のテコとすることである。

モルドヴァの沿ドニエストル共和国や、グルジアの南オセチア及びアブハジアなど、旧ソ連圏内には親露派の未承認国家(事実上、独立しているが、国際社会の多くからは承認されていない)が存在する。

もはやウクライナに親露政権を樹立することが困難である以上(親露的な傾向の強かったヤヌコヴィチ氏は2004年の選挙でロシアの全面的な支援を受けて当選するも、オレンジ革命によって当選は取り消され、2010年にようやく大統領に就任した結果が今回の事態である)、このような分離独立地域を作ることでウクライナへの圧力とする方法をロシアが選んだ可能性はある。

もうひとつの可能性は、キエフの新政権がクリミアに対して何らかの介入を行おうとしたために先手を打った、というものである。

ロシア軍の介入が始まる前日の27日、ウクライナの新政府は、国防相代行をクリミアに派遣して現地の状況を視察すると発表していた。

これが単なる国防相の視察ではない、とロシア側が何らかの根拠で判断して今回のような行動に及んだ可能性も排除できない。

ただ、今回の軍事介入はあくまでも「謎の武装集団」という体裁を取り、実際に交戦が行われたわけでもない。

いずれの可能性を取るにせよ、ロシアとしてはこの静かで曖昧な軍事介入を通じて、無言の圧力(それも、「軍事力を行使するぞ」という脅しと言うよりは、「軍事力を行使させるなよ」という形で譲歩を引き出すような)を掛けているものと思われる。

事態は現在進行中であり、その後の動静については小欄でも追って解説していくつもりである。

(元の記事)

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