李鴻章とロスチャイルド

李鴻章
中国は清朝末期に朝廷内部や重臣までイギリス系秘密結社に買収されていた。そうした清末の売国官僚の中で最も有力だったのが李鴻章である。李鴻章は伊藤博文と日清戦争の賠償を決めた下関条約などを結んだことで、日本でもよく知られた中国の政治家だ。
その李鴻章がロスチャイルドに当てた1899年4月6日付の手紙が残っている。内容は共同で中国の河南省焦作市に炭鉱を経営する会社「福公司」を設立し、代表としてユダヤ系イタリア人アンジェロ・ルザッティ(Angelo Luzzatti)を推薦するというものだ。
李鴻章をイギリス系秘密結社に紹介したのは、太平天国の乱で常勝軍と呼ばれる外人部隊にいた米国人ウォード(Frederick Townsend Ward)であったという。当時の李鴻章は曽国藩と協力して淮軍を組織し、ウォードやゴードンが率いる常勝軍の力を借りて太平天国を鎮圧した。
その後も李鴻章は自らの率いる軍隊の武装近代化のためにイギリス系秘密結社からの借款を仰ぎ、その軍事力を背景に政治における影響力を高めていった。李鴻章はその見返りとして中国での鉄道・港湾・炭鉱などの利権を、ロスチャイルドのシンジケートに売り渡していたのである。
こうして見ると李鴻章と伊藤博文が下関条約を結んだ背景には、イギリス系秘密結社の中国代表から日本代表への利権引き渡しという側面があったことが見えてくるのである。
野崎晃市(42)