岐阜の核融合炉と『君の名は。』

核融合炉の内部
3月7日より岐阜県土岐市下石町にある核融合炉で、重水素を用いた実験が開始されるという。実験では大量の中性子線と放射性トリチウムが発生するため、安全性について疑問視されている施設だ。
私がこのニュースを聞いて連想したのは、去年に公開された『君の名は。』というアニメ映画である。この映画は岐阜県の架空の田舎町を舞台としており、隕石が落ちて町が壊滅するという内容のものだ。
この映画『君の名は。』は中国でも話題となっていたので私も見たのだが、私の感想はこのアニメ映画はまたいつもの災害予告ではないのかというものであった。
というのも、日本のアニメ映画はジブリの『崖の上のポニョ』が3.11の津波を連想させるなど、時に災害を予告する内容のものが公開されることがあるからだ。
核融合炉施設がなぜ岐阜の田舎町に建設されたのかとの疑問、そして施設のある下石町という地名がアニメの岐阜県への隕石落下というシナリオを連想させたのである。
例え映画のように隕石が落下しなくても、核融合施設に某国のミサイル攻撃や大地震などの災害が発生した場合には、やはり町は放射能汚染で壊滅的損害を受けるだろう。
日本は広島・長崎と二度の被爆国である上に、福島の原発事故と数度にわたる原子力被害を受けてきた。また最近では、多額の税金を無駄使いした高速増殖炉もんじゅの失敗と廃炉が決定的となったばかりだ。
それでもなお原子力の実験を繰り返すというのは、もはや愚かさを通り過ぎてデーモニッシュな悪意さえ感じてくる。
将来に残すべき最も価値がある遺産は美しい国土と、清らかな水と、奇麗な空気だ。
かけがえのない国土・水・空気を汚してまで、強行するほど価値のある科学実験などありはしない。
野崎晃市(42)