映画『君の名は。』とソドムとゴモラの伝説

ロトの妻と呼ばれる岩
数日前に『君の名は。』というアニメ映画を見た感想を書いたが(記 事)、もう一つこのアニメ映画を見て思い出した伝説がある。
それは旧約聖書の『創世記』にあるソドムとゴモラの町に関する伝説である。ソドムとゴモラと呼ばれていた町は、隕石の落下と思われる天空から降ってきた火により滅亡したとされている。
ただ、その都市にいた善人のロトと家族だけが天使からの警告により、その町から逃げて助かることができた。天使は街から逃げるロトと家族に後ろを振り返ってはいけない、また低地の中に止まってはいけないと警告した。
しかし、ロトの妻は逃げる途中に後ろを振り返ったために隕石に当たり塩の柱となり命を失った。ロトの妻が振り返ったのは、町に残してきた財産に未練を感じたためとも言われている。
考古学的発見によれば、ソドムとゴモラがあったのは現在のイスラエルとヨルダンの国境にある死海と呼ばれる湖の周辺だ。死海がある場所は、古代には人々が多く住む商業都市として栄えていた。ところが隕石の落下による災害により町ごと滅亡し、その跡地は塩分が多いため魚もいない死の湖となった。
近くで発掘されたシュメール人の残した粘土板によれば、紀元前3123年6月29日にアピンと名付けられた小惑星が分裂して破片がこの地方に落下したという記録があり、これがソドムとゴモラを滅ぼした天からの火とする説が唱えられているそうだ。
天使の一人曰(いひ)けるは「逃遁(のがれ)て汝(なんじ)の生命(いのち)を救へ。後(うしろ)を回顧(かへりみ)るなかれ。低地(くぼち)の中(うち)に止るなかれ。」―「創世記」19章17節
野崎晃市(42)