朝鮮半島は戦争の後で統一に向かう?

さようなら朴槿恵、さようなら金正男
金正恩が朝鮮半島を統一する際に支配の正当性を脅かす可能性のあった二人の人間が、相前後してほぼ同時期に姿を消した。
その二人とは金正男と朴槿恵だ。
金正男が後継者になる可能性は消えていたとはいえ、金正日の長男として周囲から担ぎ上げられてもおかしくなかった人物だ。実際に中国や米国が金正恩を排除した後に、金正男をトップにつけるシナリオがまことしやかに囁かれたこともあった。
もう一人は韓国の大統領の朴槿恵で、朴正煕の娘であった彼女の失脚は民主主義を看板とする大韓民国という国家のレゾン・デートル(存在の意義)を揺さぶっている。もし北朝鮮が攻め込んで来た場合、韓国はそれに対抗するための精神的リーダーを喪失しているのだ。
マックス・ウェーバーによれば支配の正当性はカリスマ・伝統・法による裏付けが必要だ。金正恩がその全てを兼ね備えているのに対し、韓国では朴槿恵失脚後その裏付けを有する支配者がちょうど不在なのだ。
そこへもし仮に金正恩が横田めぐみさんを通じた朝鮮王家の血筋の継承者として現れれば、彼こそ統一朝鮮の新たな王となるにふさわしい正当性を持っていると見なされることになるだろう。
そんな状況の中で、韓国にTHAAD配備が強行され米韓軍は合同軍事演習を行っている。またそれに対抗する形で北朝鮮はミサイル発射を繰り返し、米国の衛星が捉えた写真によれば北朝鮮の核実験場で新たな核実験の準備とみられる兆候があるという。
今のタイミングならば、ヘーゲル弁証法の正反合のロジックで韓国と朝鮮を戦わせ、その後に金正恩を首領とする統一朝鮮が立ち上がるというアウフヘーベン(止揚)のシナリオが実現したとしても不思議ではない。
野崎晃市(42)