西太后の夜明珠

清朝末期に権力を振るった西太后
清朝末期に皇帝をしのぐ権力を振るった西太后は死後に財宝と共に墓に埋められたが、最も価値の高かったのが夜明珠である。
西太后の夜明珠は夜の闇の中でも光を放つ不思議な石で、身に付けていると百歩離れた所からも髪の毛が見えるほど光を放ったという。
その夜明珠は現在に換算して100億円以上もの価値があったが、不老不死の効果があると信じられ西太后の死体の口に入れられた。
ところが1928年に戦乱の隙を突いて軍閥の孫殿英が西太后の墓を盗掘し、夜明珠を含む墓の中の金銀財宝を強奪する事件が発生した。
後に孫殿英は蒋介石から罪を責められるのを恐れて、最も価値の高いこの夜明珠を蒋介石夫人の宋美齢に献上することで罪を逃れた。
宋美齢は夜明珠を靴の飾りとして得意げであったそうだが、最終的に夜明珠はロックフェラーに買い取られコレクションに入れられた。
清朝やロシアのロマノフ家が滅亡した時の財宝の行方は謎が多いが、ほとんど同じような経緯をたどって強奪されてゆくのである。
野崎晃市(43)