渤海国が日中韓で注目される

吉林省敦化にオープンした渤海博物館
渤海国は698ー926年に現在の中国東北地方に大祚栄によって成立した国で、日本とも朝貢関係があったことが知られている。
旅順にあった大祚栄の碑文を日本軍が持ち帰り、満州国成立を正当化するため、日本に朝貢した渤海国が利用されたこともあった。
渤海国は唐によって滅亡した高句麗の遺民を主体とし、現在の北朝鮮の一部も含むことから、朝鮮半島でも歴史研究が盛んである。
2006年の韓国ドラマ『大祚栄』では、大祚栄が中国皇帝による朝鮮半島侵略を阻む英雄として描かれ、中国では放映禁止となった。
それ以来、中韓で渤海国をどちらの歴史と見なすか論争となっており、韓国で渤海国は中国からの独立を意味するようになった。
最近、韓国で渤海国滅亡後も遺民が独立運動をしたとする研究が発表され、中国では渤海博物館が吉林省にオープンしたばかりだ。
朝鮮半島で民族統一の動きが高まるにつれて、渤海国の位置づけを巡り日中韓の歴史学者たちの間で議論が活発化しそうだ。
野崎晃市(45)